助成先事業実績

2021年度 助成先の事業実績

1.千葉県立佐原高等学校(千葉県香取市)

助成事業名 佐原囃子用楽器整備事業
事業内容 佐原囃子演奏に使用する祭礼用附締大鼓胴(7寸)、小鼓1組の購入と長胴太鼓1尺8寸両面張替え
実施効果 7寸胴を購入したので一昨年購入した附締大鼓の皮を取付け、前からあった祭礼用附締大鼓胴(5寸)は練習用に回すことが可能となった。また、小鼓が3組となり、演奏に幅が出来た。劣化が進んでいた長胴太鼓1尺8寸の両面張替えを行えたので、当分の間使用が可能となった。
今後の目標など コロナ渦ではあるが、今年も地域の方との交流行事の香取市文協祭:佐原文化芸術祭、さわら町屋館での公演2回を行うことが出来た。来年も、積極的に地域の行事に参加して、地域の伝統文化継承に繋げていきたい。

2.香取市佐原小学校(千葉県香取市)

助成事業名 佐原囃子用楽器整備事業
事業内容 郷土芸能部の楽器新規購入
実施効果 令和2年度までに財団の助成金によりステージ発表のための楽器や備品を購入。本年度はコロナ禍の中、例年行われていた演奏の場が感染拡大防止のために中止となってしまったが、本事業で大太鼓が新調できることを子どもたちは楽しみにし、限られた期間であったが部活動に取り組み、学校内でミニコンサートを開催することで部員の意欲の向上を図ってきた。今後、大太鼓が新調されたときには、道具を大切にしようという意識や音の質についての意識を高めていけるようにしていく。
今後の目標など 大太鼓を新調することにより意欲を高め、佐原囃子の演奏技術の向上を図っていく。また、道具を大切にする心や多くの方々に支えられながら郷土芸能部が伝承されていることに気付かせ、郷土芸能部の活動をさらに推進して地域の伝統文化継承につなげるとともに、子どもたちの郷土愛、豊かな心を育成していく。

3.佐原古文書学習会(千葉県香取市)

助成事業名 郷土文化の保存、経継承事業
事業内容 伊能忠敬が当主であった前後の家蔵文書で、「伝家」と題された家政・村政記録を翻刻した。そして、用語の注や史料の大意を付け、さらに内容を理解しやすくするために解説を充実させ、本冊が学術性を維持しながらも、市民が理解しやすい構成となるように編集作業を展開した。刊行後は、地域の学校や団体、県内外の公共図書館をはじめ全国の主要な大学や研究機関にも配布した。
実施効果 本冊の刊行により、佐原時代の忠敬翁の実績や新事実が史料的な根拠を示して数多く明らかになった。そして年当は伊能図完成200年記念に当たり、郷土の偉人伊能忠敬を顕彰する気運を高め、また本書の刊行は新聞記事にも掲載され、地域の内外に改めて忠敬翁の功績を広く普及させることができた。
今後の目標など 佐原古文書学習会は長年に亙って古文書を解読し、生の地域史料から新史実の発掘をしてきている。当会は、2024年に創立50周年を迎える。次の二年後にも、活動の成果を後世に残し、地域社会へ広げられるように努めていければと思っている。

4.特定非営利活動法人千葉自然学校(千葉県千葉市)

助成事業名 伝統的建造物整備事業
事業内容 古民家「ろくすけ」は南房総市平久里下に所在し、農泊、都市・農村交流施設として活用されている。築200年近くになり、少しずつ補修しているものの、母屋及び長屋門の茅葺屋根の傷みがひどくなっている。今年度は、とりわけ痛みがひどく茅を押さえている竹が露出している母屋前面の西側二分の一程度の茅葺屋根の補修を茅職人に依頼し、実施した。経費削減のため、当法人の職員で茅の準備、片付けを交替で行った。
実施効果 当初、剌しがやで補修する予定であったが、痛みがひどく全替えで補修を行った。母屋前面の屋根については、苔等をつけないように注意しながら管理すれば、10年近くは心配がいらなくなった。
今後の目標など 今回葺き替えできなかった、母屋西側側面の補修が早急に必要なので実施に向けて準備するとともに、茅屋根全体が苔等で蒸れないように日常の管理に気を付ける。また、茅場を育て、茅の自給ができるようにする。竹や茅など里山にあるものを活用する暮らしを子どもたちに伝えるとともに、里山の資材を活かすことにより環境保全にもつながることを伝える場、都市・農村交流拠点としてさらに活動を進め、地域の活性化につなげたい。

5.食文化研究会(千葉県流山市)

助成事業名 伝統・文化を活用した地域づくり事業
事業内容 2021年10月24日~11月23日の間江戸優り佐原文化芸術祭実行委員会と共に歴史的建造物等を活用して、江戸優り佐原文化芸術祭2021を開催した。まちなかへの花のモニュメント設置や、日本遺産啓発の展示、地元作家の切り絵展示を行った。さわら町屋館では中庭軒先コンサートを開催し、与倉屋大土蔵では、地元の高校生の演劇及び書道パフォーマンス、また歌舞伎座の若手囃子手、踊り手と共に伝統文化・古典芸能に親しむを開催した。多くの観光客が訪れた。
実施効果 コロナ下ではあったが、十分な対策を講じて、伝統文化自体が有効な集客のツールとして育んでいくためにも、多くの関係者の参加、協力を得て実行委員会方式で行っている。今後のまちづくりの担い手育成にもつなげていくことで、持続可能な地域づくりの一翼を担っていくことも地域活性化のためには重要である。文化的活動自体を観光資源として磨き上げ一層の集客に貢献することで、来街者の少ない時期の解消に取り組んでいく。また伝統芸能や日本文化に直接触れることで、地域の伝統や文化への意識を高めることにつながると思料する。
今後の目標など 様々な日本文化や地域の伝統文化や芸術に触れる場を作り、多くの人々に佐原は常に「文化に触れることのできるまち」としてのイメージを持っていただけるようにするとともに、地域に本物の伝統や文化に触れる場を作っていく。

6.東関戸区彫刻制作委員会(千葉県香取市)

助成事業名 郷土文化の伝承、保存、活用事業
事業内容 300年の歴史を持つ佐原の山車祭りをまちおこしの有効な手段として活用し、内外への知名度の向上、又、郷土の伝統文化継承のため山車の整備、保護、PR活動に努めています。東関戸区の山車は彫刻が未完成の部分があり、山車の彫刻飾り完成にあたり不足している山車格天井まわりの彫刻を制作し山車飾りの完成に向けて活動をしています。
実施効果 山車彫刻が完成することで山車の文化的価値、資産価値が高まり、さらなる地域における郷土文化の伝承、保存、活用につながるものと考えます。
今後の目標など 東関戸区の山車は今回の彫刻以外にも未完成の部分があり、また既存の山車飾りにも経年劣化が進み整備、保護が必要とされる部分があります。引き続き、郷土の伝統文化継承のため山車の整備、保護、PR活動に努めています。

7.地域資源活用研究会(東京都)

助成事業名 伝統文化などの地域資源を活用した文化交流事業
事業内容 地域には未来につなげていくべき、様々な文化資源があり、それらは地域の大切な資源として認識され、活用されてこそ受け継がれていくことが求められている。
新型コロナウイルス感染症感染予防対策の中で、日本遺産やユネスコ無形文化遺産登録の文化財でもある佐原の山車行事の山車に乗っている各町の大人形等のいわれや歴史等を町内のヒアリングも含め調査し、日本古来の楽器である筑前琵琶による物語の演奏の創作に取り込む。枇杷奏者の藤高理恵子氏と連携して取り組んだ。
町内にとって、山車人形が町内のシンボルであり、大切なものである。その人形が日本の伝統文化である筑前琵琶の曲として語られることで、一層町内の誇りの醸成に繋がり、長く語り継がれていくものと思料される。
今年度は「大楠公」「小楠公」の作品制作に取り組んだ。密にならないように調査をおこなった。3月上旬まで蔓延防止措置が発令されていたことから、制作した作品について、町内との意見交換の場をもつことができなかった。今後数回の意見交換を経て、演奏会を開催していきたい。
実施効果 町内にとって山車や人形は何より大切な地域の誇りである。町内にとってのシンボルを古典芸能楽器である琵琶で物語を語ることは、あらためて歴史や伝統の重み、大切さを認識するものである。町内の人たちとの交流のなかで創作活動が進められることで、より地域の想いを込めた作風が期待され、一層の地域の誇りを醸成することができた。
今後の目標など 地域との連携・協力して行うことで、地域の誇りの醸成やシビックプライドの醸成につなげていきたい。またafterコロナを見据えて十分感染症対策を講じ、創意工夫して地域の物語を掘り起こしていきたい。

8.プラットフォーム佐原(千葉県香取市)

助成事業名 伝統・文化を活かした情報発信及び文化交流の推進事業
事業内容 新型コロナウイルスの影響で、国の重要無形民俗文化財でユネスコ無形文化遺産登録の佐原の大祭は中止となったが、日本遺産の歴史的町並み(国の重要伝統的建造物群保存地区選定)、旧官幣大社の香取神宮、日本三大厄除大師の観福寺、伊能忠敬翁の遺品など、文化的資源の情報発信を継続的に推進した。
・手作り絵はがきを作成して、「佐原を有名に志隊」の隊員様に郵送したり、佐原のまちなかで展開される様々な活動を佐原の応援団等に対して周知したりした。
・フェイスブック運営を行い、より詳しい情報を提供した。
・伝統文化を生かした催しが行われた際は、宣伝用のチラシを作成したり、当日の動画・写真撮影を行ったりした。「古典芸能・邦楽のタべ」については、DVDを作成したり、編集したものを数種類作成したりして、関係団体を通して配布した。
・隔月ごとに佐原の記事を作成して、地方情報誌のSTaDに掲載してもらい、北総地域一円に広く情報発信した。
実施効果 文化的資源の情報発信を継続的に推進することで、伝統文化の伝承や市民活動団体等の様々な活動を間接的に支援することができた。
フェイスブックによる情報発信、佐原応援団への手作り絵葉書の郵送や、伝統文化のイベントに直接参加できなかった方々にDVDを作成して配布することで、今後の佐原の伝統文化を活用した様々な活動や事事業が展開される下支えを行うことができた。
今後の目標など 現在は、新型コロナウイルスの影響で、観光客が減少した状態が続いていたが、佐原を有名に志隊の皆様、及び佐原の応援団とのパイプを切らすことなく、佐原の情報を発信し続けることで(フェイスブッグ運営、佐原応援団への手作り絵葉書や DVD の配付。イベント情報発の発信など)コロナ前のように観光客が戻ってくることを期待する。
また、大学生の研修を受け入れている団体等との連携により、佐原伝統・文化を理解してもらい、将来的な佐原の応援団となってもらうための様々な活動や事業が展開される下支えを行うことで、更なる佐原のまちの活性化に向けて努力していく。

9.かとり町並みあーと倶楽部(千葉県香取市)

助成事業名 伝統文化交流事業
事業内容 今回は「佐原長唄鑑賞会」を市内の寿茂登を会場として行いました。コロナの影響がまだ収まらないために観客は10名程度に抑えましたが、演奏者は現在の長唄・舞踊界で活躍している一流の方々にお願いをして内容の濃い鑑賞会となり、演目にも佐原に古くから伝承されている「佐原小唄」・「佐原音頭」も披露されました。
実施効果 今回の鑑賞会の目的の一つは佐原の伝統ある「佐原囃子」をもっと広く世に広めるための方法を探るためのものでした。そのために観客の皆さんは普段から佐原囃子や観光事業に関わっている方々をお招きし、演奏者と意見交換をしました。演奏者や舞踊家の方たちも歌舞伎座や国立劇場に出演している経験から貴重なアドバイスを頂き、これからの 佐原囃子の普及のご協力を約束していただきました。
今後の目標など 佐原囃子の全国展開の為の方法の一つとして佐原音頭や佐原小唄の新しい振り付けの踊りを創りSNSを活用して広め、東京ドームのイベントでの新しい振り付けの舞踊のお披露目等を考えています。

10.江戸東京学・水都佐原調査研究会(千葉県佐倉市)

助成事業名 江戸東京学・水都佐原研究会開催事業
事業内容 佐原は町衆のまちとして、特に大祭を媒介とした深い絆の下でまちづくりを展開してきた。江戸時代から町に根付く「自治の精神」や天災に見舞われた際に私財で民を救済した伊能忠敬翁の精神を受け継ぎ、現在のまちづくりを推進してきた。
このような環境において法政大学工コデザイン研究センターと連携して、水都そして商都である佐原の都市史、江戸・東京との中心・周縁の都市関係史を、また佐原のまちの形成など地理学的視点を含め、様々な視点から検討をすすめた。ただ、コロナ下であることにも鑑み法政大学工コデザイン研究センターとのズームの研究会を含め全体で5回の研究会を開催した。
研究会では今後活用していく資料等を整理し、忠敬香取神宮関係書類について一部を印刷し、共有化を図った。水都そして商都である佐原の都市史、江戸・東京との中心・周縁の都市関係史を、また佐原のまちの形成など地理学的視点を含め、様々な内容について専門分野の講師の講義をうけた。
実施効果 「佐原テリトーリオの古層・基層 ~考古学的視点~」
「香取大神宮参詣略記」
「歴史と共に考える佐原地区の地形
利根川流域の成り立ち~自然地理学の考え方~」
「近世以前の佐原テリトーリオに関する研究」
5回の研究及び調査を行い、当該地域の成り立ち等について学んだ。
今後の目標など 佐原の歴史・文化的資料を水都佐原として調査研究を進めていき、節目でフォーラム等を開催し、地域と共有しながら進めていきたい。法政大学エコデザイン研究センターと共に将来の佐原のまちづくりのために、郷土のまちづくりの歴史や、伝統・文化を学び未来を考える場を提供していきたい。特に、長い歴史を持つ香取海や、香取神宮がこの地で果たした内容や、佐原の文化的学術的資料を、域外にも情報発信していきたい。

11.川崎 寛美(千葉県香取市)

助成事業名 地域の歴史の可視化事業
事業内容 下総の国一之宮であり、日本遺産でもある香取神宮について、多くの人々に知っていただくため、歴史を踏まえたガイドブックを作成した。散策ルートを設定して、15の設定について調査研究を行い、可視化した。
1.無料駐車場・新参道・定宿札・赤鳥居
2.ジャリ道の参道・左右の池
3.石の鳥居・勅使門・石段・総門
4.手水舎前
5.手水舎左後ろ・西側広場
6.楼門
7.拝殿
8.本殿
9.桜大刀自神社
10.鹿島新宮社
11.六所神社
12.旧参道・宮中台・日天社・月天社
13.押手神社・要石・香取護国神社
14.奥宮・飯篠長威斎の墓
15.神宮寺
香取神宮の神について
さらにかつて作成した香取誌を復刻した。
実施効果 地元の人は歴史を学び香取神宮を参拝、散策し、この地が日本書記の時代からの貴重な歴史を積み重ねてきた地であることを知ることで、より郷土に自信と誇りを醸成することにつながる。また、他の地域から訪れた人たちは、戦前の3神宮の一つであることや、旧官幣大社であること、聖武天皇御物と同等の鏡があることなどを知ることにより、日本の歴史上の検見地からも重要な地であったことを再認識することにつながる。
今後の目標など 日本の歴史、それも古代からの歴史を再発掘し、この地の持つ様々な資源の力を整理し、地域全体のポテンシャルを上げていくことで、よりこの地に訪れる専門家や研究者を増やしたい。併せて多くの集客に繋げていきたい。

12.特定非営利活動法人佐原アカデミア(千葉県香取市)

助成事業名 大学と地域の拠点交流センター運営事業
事業内容 日本遺産・重要伝統的建造物群保存地区に指定されている佐原地域で、まち全体をキャンパスとして、地域と大学との連携事業を展開するための拠点となる佐原アカデミア交流センターの家屋内外の整備を行った。
新型コロナウイルスの感染対策関係の備品、オンラインでの環境整備などを実施し、その運営を行った。
地域がこれまで培ってきた地域の伝統文化を中心にしたまちづくりが持続可能な環境を整えるために、町全体で学ぶ場の提供と、地域と交流しながら学ぶ環境を提供した。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、交流事業を進めることは難しかったが、安全対策を講じつつ、具体的には、法政大学、津田塾大学、千葉大学、国学院大学等との連携を深めた。
• 2021年6月から10月までの間に法政大学学生の卒論指導を行った。アンケート作成からヒアリングにも同行し、助言等行った。また10月には谷本ゼミ20名のまちづくり研修を行った。
• 12月には1泊2日で長野大学熊谷ゼミ19名のまちづくり研修を行ったほか、法政大学エコデザイン研究センターとはズームでの研究会を実施した。
• 国学院大学が本年4月から観光まちづくり学部新設にあたり、フィールドワークとして佐原のまちづくりを学ぶ方向で意見交換や資料提供を行い、当法人と連携協定を進めるべく素案づくりを行った。
• その他、佐原のまちづくりを学ぶ人が訪れ、状況に応じた対応を行った。
実施効果 大学との連携を深め、学生と地域の関係人口を育んでいくことで、町衆との交流が深まり、佐原に深く携わってくれる人材が育成されることが期待できる。
今後の目標など 新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、感染者が下火になった場合は、インターンシップキャリアチャレンジ・ゼミ研修、大学の授業での取り組みなどを推進することで、現場で実践者の講義を体験しながら、座学では得られない、感性もふくめて生きたまちづくりを学ぶ事業を展開する。このことによる関係人口の育成に真摯に取り組んでいくことで、地域の持続可能性を追求していく。