助成先事業実績

2020年度 助成先の事業実績

1.香取市立佐原小学校(千葉県香取市)

助成事業名 佐原囃子用楽器整備事業
事業内容 郷土芸能部の楽器新規購入
実施効果 ステージ発表のための楽器や備品を購入した。本年度はコロナ禍の中、例年行われていた演奏の場が感染拡大防止のため中止となってしまった。だが、本事業で大太鼓が新調できることを子どもたちは楽しみにし、限られた期間であったが部活動に取り組み、学校内でミニコンサートを開催することで部員の意欲を向上することができた。
今後の目標など 大太鼓を新調することにより意欲を高め、佐原囃子の演奏技術の向上を図っていく。また、道具を大切にする心や多くの方々に支えられながら郷土芸能部が伝承されていることに気付かせ、郷土芸能部の活動をさらに推進して地域の伝統文化継承につなげるとともに、子どもたちの郷土愛と豊かな心を育成していく。

2.千葉県立佐原高等学校(千葉県香取市)

助成事業名 佐原囃子用楽器整備事業
事業内容 佐原囃子演奏に使用する祭礼用大鼓、小鼓、小太鼓台(椅子用・正座用)、印半纏の購入
実施効果 これまで附締太鼓の台を近隣の下座連から借用していたが、椅子用と正座用の台を購入できた。また、演奏時に着用する佐原高校郷土芸能部の印半纏も揃えることができたため、佐原囃子の演奏を伝承していく活動が大幅に可能となった。
今後の目標など 地域の方との交流行事で演奏することも可能になったので、香取市文協祭り、香取市民文化祭等に積極的に参加して、地域の伝統文化継承に繋げる。また、部員たちの演奏技術の向上や郷土愛、豊かな心の育成を図っていく。

3.岸組芸座連(千葉県香取郡)

助成事業名 郷土芸能楽器整備事業(長胴太鼓革張替え、および修繕)
事業内容 芸座演奏で使用する長胴太鼓の両面革張替えおよび胴の修繕
実施効果 長年の使用で劣化していた長胴太鼓革を両面張替えたことにより、音色が格段に向上した。加えて、さらに良い太鼓の音色に育てていけるよう、今後の稽古の士気の高まりが期待できる。
今後の目標など 昨今の情勢により、稽古を自粛せざるを得ない状況ではありますが、現在は稽古再開へ向けた環境整備を進めている。安心して稽古に臨めるようになった折には、これまで以上に地域の小中学生を対象とした継承者育成に努め、地域コミュニティの温かさに溢れた郷土芸能伝承に努めていく。

4.下宿区(千葉県香取市)

助成事業名 文化遺産・郷土文化の保護・継承事業
事業内容 山車人形の鎧・着物を修理
実施効果 「佐原の大祭」 (ユネスコ無形文化遺産、国指定重要無形民俗文化財)において用いる山車人形の鎧・着物について、製作当時の姿に修理・復元することができた。
今後の目標など 製作当時の姿に修理・復元することができた山車人形の鎧・着物の将来にわたる維持に努める。また、老朽化や損傷が進んでいる山車・彫刻等についても修理できるよう計画策定し、祭礼行事の継承に取り組んでいく。

5.食文化研究会(千葉県流山市)

助成事業名 伝統文化などの地域資源を活用した交流事業
事業内容 2020年11月7日(土)に江戸優り佐原文化芸術祭実行委員会とともに歴史的建造物を活用し、地元佐原高校演劇部の活動の披露として「夏芙蓉」を上演。また、日本の伝統芸能である古典芸能の長唄・三味線・舞踊を披露。Withコロナの時代の芸術鑑賞の在り方の検証も含め開催した。 Withコロナの時代の芸術鑑賞の在り方の検証も含め開催した。
日本一の大土蔵の空間を活用し、入場者数を上限100名として、椅子間のソーシャルディスタンスを十分確保、入り口での検温・消毒を実施、安心安全を確保したうえで開催。
古典芸能の長唄による佐原音頭などプロの出演により鑑賞した。また、地元舞踊家の日本舞踊も披露。更に、地元高校の郷土芸能部による佐原囃子の演奏が披露され、参加者から大きな拍手があった。11月1日から6日間及び1 1月7・8日に日本遺産北総四都市江戸紀行、江戸を支えた北総の四都市のパネル展示を行った。
更に、コロナ禍で宴会ができない料亭の大広間の活用の在り様も踏まえ、お座敷で小人数での古典芸能を鑑賞する試みを行った。若手歌舞伎の囃子手を招聘して、取り組んだ。また、舞踊は藤間流の舞踊家を依頼し、佐原音頭の新たな振り付けによるものを鑑賞。プロによる古典芸能の披露は、日本の古典芸能を伝承させていくうえで重要なことであると思料された。
実施効果 コロナの状況下ではあったが、十分な対策を講じて、伝統文化自体を有効な集客のツールとして育んでいくためにも、多くの関係者の参加、協力を得て実行委員会方式で行っている。今後のまちづくりの担い手育成にもつなげていくことで、持続可能な地域づくりの一翼を担っていくことも、地域活性化のためには重要である。文化的活動自体を観光資源として磨き上げ、一層の集客に貢献することで、来街者の少ない時期の解消に取り組んでいく。また、日本文化に直接触れることで、地域の伝統や文化への意識を高めることにつながる。
今後の目標など 様々な日本文化や地域の伝統文化、芸術に触れる場を作り、多くの人々に佐原は常に「文化に触れることのできるまち」としてのイメージを持っていただけるようにするとともに、地域に本物の伝統や文化に触れる場を作っていく。

6.プラットフォーム佐原(千葉県香取市)

助成事業名 伝統・文化を活かした情報発信及び文化交流の推進事業
事業内容 新型コロナウイルスの影響で「佐原の大祭」 (ユネスコ無形文化遺産、国指定重要無形民俗文化財)は中止となったが、日本遺産の歴史的町並み(国の重要伝統的建造物群保存地区選定)、旧官幣大社の香取神社、日本三大厄除大師の観福寺、伊能忠敬翁の遺品など、文化的資源の情報発信を継続的に推進した。
・手作り絵はがきを作成し、「佐原を有名に志隊」の隊員様に郵送。佐原の様々な活動を佐原の応援団等に対して周知。
・フェイブック運営を行い、より詳しい情報を提供。
・伝統文化を生かした催しでは宣伝チラシ作成や、当日の動画・写真撮影を行った。「古典芸能・邦楽の夕べ」ではDVDを作成し、関係団体を通して配布。
・隔月で佐原の記事を作成して地方情報誌の「STaD」に掲載してもらい、北総地域一円に広く情報を発信。
実施効果 文化的資源の情報発信を継続的に推進することで、伝統文化の伝承や市民活動団体等の様々な活動を間接的に支援することができた。フェイスブックによる情報発信や、佐原応援団への手作り絵はがきの郵送、伝統文化イベントに参加できなかった方々にDVDを配布することで、今後の佐原の伝統文化活動や事業が展開される下支えを行うことができた。
今後の目標など 現在は、新型コロナウイルスの影響で観光客が激減した状態が続いている。しかし、今後も「佐原を有名に志隊」の隊員様および佐原の応援団とのパイプを切らすことなく佐原の情報を発信し続けることで、また観光客が戻ってくることを期待する。また、大学生の研修を受け入れている団体と連携し、佐原の伝統・文化を理解して将来的な佐原の応援団となってもらうための様々な活動や事業が展開される下支えを行うことで、更なる佐原のまちの活性化に向けて努力していく。

7.地域資源活用研究会(東京都)

助成事業名 伝統文化などの地域資源を活用した文化交流事業
事業内容 江戸優り佐原文化芸術祭実行委員会と共催で10月31日〜11月23日の間、江戸優り佐原文化芸術祭を開催。特に期間中、町中に生花のモニュメント展示を行った。今回は範囲を拡大して景観形成地区外にも展示を行うとともに、小野川の河川管理者である千葉県の許可を得て、小野川のだしの上にも展示し、大変好評であった。
令和2年12月14日及び令和3年2月15日には町中の民家で、プロの芸術家による茶会及び書道体験を行った。小人数でプロの動きを目の当たりに体験することができ、参加者からの評価が大変高かった。特に書道は、自分だけの書を成果品として持ち帰ることができた。また、2月24日、3月24日の両日、古民家を活用して季節の体感できる茶事を行った。新型コロナウイルス感染症対策を講じた中で、小人数での会を開催することに挑戦した。
また、従来、佐原町並み交流館で開催していた佐原軒先コンサートについて、屋外で開催。小野川沿いのさわら町屋館中庭を借り上げて中庭軒先コンサートとして、11月14日に「うとぅあしゃぎー」による三線の演奏会。15日には「Yap's」のジャズコンサートを開催。更に11月17日には「篠聡会」の篠笛の演奏会を開催。併せて、11月中の日曜日には、さわら町屋館、昭和女子大及び明治大学の学生と連携して、地元野菜の販売を行う「あやめマルシェ」を開催した。
実施効果 コロナ下において、屋外の活用や小人数での文化イベント等を開催し、このような環境下においてもイベントを実施し、地域の文化交流を推進することができたことは、今後の事業展開における方向性を示すことができた。
歴史や伝統・文化を体感できる空間での音楽会、お茶会などを介して、芸術家と地域住民、更に来街者との交流を図ることで、様々な状況下においても伝統文化の継続が、地域を持続させていく上で重要であることを確認しあう機会となった。
今後の目標など 地域の様々なまちづくり団体や、地元学校と連携・協力して行うことで、地域の誇りの醸成やシビックプライドの醸成につなげていきたい。また、afterコロナを見据えて十分感染症対策を講じ、創意工夫して来街者との文化的交流を図り、何度も訪れていただく関係性を築いていきたい。

8.東関戸区彫刻制作委員会(千葉県香取市)

助成事業名 郷土文化の伝承、保存、活用事業
事業内容 山車の文化的価値、資産価値を高めるため、未完成部分の山車の彫刻飾りを制作。
実施効果 今年度の期間内に事業が完了しないため、助成金事業を中止とする。

9.ちば河川交流会(千葉県習志野市)

助成事業名 郷土の川・文化、土木遺産を通じた交流事業
事業内容 ちば河川交流会がシリーズで発行してきたパンフレット「遺しておきたい伝えたい千葉の水辺(自然・景観・土木遺産)」10編を分野別(河川舟運、用水事業、川廻し、石橋等)に再編集し、表題「ちばの川訪ねある記ー水辺の自然、文化、土木遺産ー」として1冊の本にまとめ500部発行。
実施効果 昨秋以降、編集委員を中心に県内各地の土木遺産箇所を現地調査したり関係者への取材を行ったりして、時点修正などを含めた校正、整理作業を行った。その中で、改めて先人が自然と向き合い自然に手を加えて成した土木遺産を、次の世代に伝え引き継いでいくことの大切さを認識。
今後の目標など 作成した冊子を関係者、図書館、行政機関等に寄贈し、郷土の川と文化、土木遺産に関心、理解を深めてもらえるよう努める。また当冊子を教材として学校等で出前授業や土木遺産見学会に活用できるよう取り組んでいく。

10.特定非営利活動法人佐原アカデミア(東京都)

助成事業名 大学と地域の拠点交流センター運営事業
事業内容 日本遺産・重要伝統的建造物群保存地区に指定されている佐原地域で、まち全体をキャンパスとして、地域と大学との連携事業を展開するための拠点となる佐原アカデミア交流センターを新たに設置し、家屋内外の整備を行った。
新型コロナウイルスの感染対策関係の備品の購入や設置、オンラインでの環境整備なども実施し、その運営を行った。
地域がこれまで培ってきた地域の伝統文化を中心にしたまちづくりが持続可能な環境を整えるために、町全体で学ぶ場の提供と、地域と交流しながら学ぶ環境を提供。
非常事態宣言の発出や、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、交流事業を進めることは難しかったが、安全対策を講じつつ、具体的には、法政大学、津田塾大学、千葉大学、国学院大学等との連携を深めた。
・2020年9月5日には、法政大学の福井ゼミの学生21名を受け入れ、佐原のまちづくりや大祭などについて研修を行った。
・2020年12月14日には、法政大学の学生の卒論について指導・助言を行った。
・その他、佐原のまちづくりを学ぶ人が訪れ、状況に応じた対応を行った。
実施効果 大学との連携を深め、学生と地域の関係人口を育んでいくことで、町衆との交流が深まり、佐原に深く携わってくれる人材が育成されることが期待できる。
今後の目標など 新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだ後は、インターンシップ・キャリアチャレンジ・ゼミ研修、大学の授業での取り組みなどを推進することで、座学では得られない、現場で実践者の講義を体験しながら、感性もふくめて生きたまちづくりを学ぶ事業を展開する。このことによる関係人口の育成に真摯に取り組んでいくことで、地域の持続可能性を追求していく。

11.江戸東京学・水都佐原調査研究会(千葉県佐倉市)

助成事業名 江戸東京学・水都佐原研究会開催事業
事業内容 北総地域は、百万都市江戸に隣接し、関東平野と豊かな漁場の太平洋を背景に、利根川東遷により発達。水運と江戸に続く街道を利用して、江戸へ東国の物産を供給し、江戸の暮らしや経済を支え、佐原は江戸との交流の中で江戸文化を取り入れ育まれてきた。
本来予定していたフォーラムは、新型コロナウイルス感染症にかかる非常事態宣言が出されたことでフォーラムの開催を中止。個別の調査と、小人数での研究会を4回行い、必要によりZOOM会議を行った。
研究会では、今後活用していく資料等を整理し、忠敬関係書類や大祭関係について一部を印刷し、共有化を図った。
水都そして商都である佐原の都市史、江戸・東京との中心・周縁の都市関係史を、また佐原のまちの形成など地理学的視点を含め、様々な視点から読み解いていくために作業を行った。
実施効果 法政大学工コデザイン研究室と外側から見える佐原のまちの魅力について、ZOOM会議ではあるが、感想を聞くことができ、研究課題の整理について参考になった。
専門家の多い研究会であることから、様々な視点での研究課題について意見交換があり、具体的資料の整理など、これからの研究にかかる資料の一部を整理することができた。より共有化と理解を深めるため、一部は印刷物として製本した。
このような活動に伴い、市内で活動している古文書の会との交流も始まり、伊能文書等、市内に残っている古文書等にも触れる機会ができた。また、共有文書を整理して、関係者で確認できる環境が整ってきたことは、今後の活動に非常に有効である。
今後の目標など 佐原の歴史・文化的資料を水都佐原として、調査研究を進めていき、節目でフォーラム等を開催し、地域と共有しながら進めていきたい。法政大学工コテザイン研究センターとともに、将来の佐原のまちづくりのために、郷土のまちづくりの歴史や、伝統・文化を学び、未来を考える場を提供していきたい。併せて、佐原の文化的学術的資料を、域外にも情報発信していきたい。